新しい部屋を探しはじめると、頭のなかは条件でいっぱいになる。家賃はいくらまで、駅から何分、日当たり、間取り、収納。内見の帰りの電車で、図面のコピーを何度も見比べる。引っ越しを決める前に考えることは、それだけで十分すぎるほどある。
そのうえで、わたしはもうひとつ、方位や時期という視点も、引っ越す前に一度確認しておいてほしいと思っている。住む場所は、暮らしの土台そのものだからだ。そしてそれは、引っ越したあとからでは選びなおすことが難しい、数少ないことのひとつでもある。
引っ越しは、住む場所を変えるだけではない
家賃や通勤の便利さは、もちろん大切だ。毎月の支払いも、毎朝の通勤時間も、暮らしにそのまま響いてくる。
ただ、住まいは条件の束だけでできているわけではない。一日の終わりに帰ってきて、鍵を開け、靴を脱ぐ。食事をして、眠って、翌朝またそこから出かけていく。一年のうちでいちばん長い時間を過ごすのは、たいていの人にとって家なのだと思う。住む場所を変えるということは、これからの毎日がどこで始まり、どこで終わるのかを決めなおすことでもある。引っ越しは、思っている以上に大きな決断なのかもしれない。
住む場所と、目に見えないエネルギーについて
住環境が心身に影響することは、ふだんの暮らしの感覚としても知られている。日当たりや風通し、まわりの音、部屋の広さ。眠りやすさや疲れの取れ方が、住まいによって変わることはめずらしくない。
それとは別に、わたしは霊的な観点から、住む場所には目に見えないエネルギーという面もあると考えている。土地や建物には、それぞれの空気のようなものがあり、毎日そこで眠り、身体を休める人は、その影響を受けながら暮らしている。ここでいうエネルギーは、科学的に測れるものとしてではなく、わたしが大切にしている見方のひとつとして書いている。
科学的に説明できることと、目に見えないエネルギーという観点から考えること。その捉え方は異なるけれど、毎日身を置く場所を大切に考えたいという思いは、どちらにも通じている。
住まいは、日々の暮らしの土台になる場所だ。だからこそ、選ぶときには、ふだんより少し丁寧に考えておきたい。
わたし自身も、引っ越しに関するご相談では、霊視を通して住む場所のエネルギーを見たり、引っ越しの時期についてもみている。
引っ越しは、これからの暮らしを考える機会
引越しには、まとまったお金と時間がかかる。
だから引っ越しは、条件のよい物件を探す作業であると同時に、これからどんな暮らしをしたいのかを考えなおす機会でもあるのだと思う。家で過ごす時間を増やしたいのか、仕事に集中できる場所がほしいのか、家族との距離をどうしたいのか。そして、住む場所をどんな視点で選ぶのか。そのひとつとして、方位や時期を確認しておく、という考え方がある。
方位や時期は、引っ越す前に確認する
以前、神主さんとお話しした際、引っ越しを済ませてから相談に来られる方について、もっと早く相談してほしかった、方位についても事前に確認してほしかった、という趣旨のお話をうかがったことがある。
そのお話が、ずっと心に残っている。
引っ越しをしてからでは、住む場所を選びなおすのは簡単ではない。だからこそ、まだ選択できる段階で考えておくことに意味があるのだと思う。
方位や時期を大切にする考え方に立つなら、確認できるのは、物件と引っ越し日を決める前だ。
契約を結び、荷物を運び入れてしまったあとで方位や時期のことを知っても、選びなおすことはなかなかできない。引っ越したあとに不安になってほしいわけではない。実行する前なら考えられたことを、引っ越したあとで初めて知るのは惜しい。
方位や時期の考え方には、流派や見方による違いもある。だから気になる方には、物件や引っ越し日を決める前に、信頼できる専門家に相談するという選択肢を、頭の片隅に置いておいてほしい。引っ越しの相談を受けている神社もあるし、気学など方位を専門に見ている方もいる。
せっかくの機会だからこそ、決める前に一度考えてみる
不安だから相談するのではなく、大事な決断だから、事前に考えられることは考えておく。新しい鍵を受け取るその日を、納得して迎えるために。引っ越しという節目を、わたしはそんなふうに大切にしてほしいと思っている。
